2025年1月28日の生成AI最新ニュースをお届けします!


こんにちは、中村稔です。2025年1月28日の生成AI最新ニュースをお届けします。

今回の焦点は、中国のAIスタートアップ「DeepSeek」です。アプリリリース後わずか2週間で米国の注目を集め、グローバルなAI市場を揺るがす存在になっています。OpenAIの動向や日本企業の取り組みも含め、各トピックを見ていきましょう。


1. DeepSeekがChatGPTを超える人気に

中国のAIスタートアップであるDeepSeekは、生成AIアプリを米国App Storeに投入し、無料アプリランキングで一気にトップの座を獲得しました。これまでChatGPTが築いてきた大きな存在感を、わずか2週間という短期間で上回ったのです。GPU制限下での開発という逆境にありながら、効率的なモデル訓練によって高い性能を引き出すことに成功した背景が注目されています。投資家の中には、DeepSeekの成長が今後さらに加速する可能性を示唆する声もあり、AI市場全体への波及効果を期待する意見も増えてきました。

VOI - Waktunya Merevolusi Pember...
App StoreでのChatGPT人気のDeepSeek Salip AIアプリケーション App StoreでのChatGPT人気のDeepSeek Salip AIアプリ。

2. DeepSeek R1モデルがOpenAI o1と同等の性能

1月20日にリリースされた「DeepSeek-R1」は、OpenAIのo1モデルと同等レベルの推論能力を持つと言われています。科学や数学、コーディングなど幅広い領域で高い性能を示し、研究者コミュニティを驚かせました。特にオープンソースとして公開されている点が大きく、一般の研究者や開発者が手軽にモデルの仕組みを調査できる環境が整備されたことで、AI研究のさらなる発展を促す可能性が指摘されています。大学や企業の研究機関がこのモデルを利用した新しいアプリケーション開発に乗り出す動きも期待されており、その影響は今後ますます拡大すると考えられています。

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China’s cheap, open AI model DeepSeek thrills scientists DeepSeek-R1 performs reasoning tasks at the same level as OpenAI’s o1 — and is open for researchers to examine.

3. DeepSeekの台頭でAI関連株が急落

DeepSeekの急激な躍進により、米国のAI関連株が大幅に下落しました。NvidiaやMicrosoftなどの大手企業の株価が10%以上も下落し、今までのAI開発に向けた巨額投資の妥当性に疑問を呈する動きが強まっています。投資家の一部では、低コストかつ高性能なモデルが今後のスタンダードになるのではないかという見方もあり、大手企業の研究開発体制が構造的に見直される可能性を指摘する声が上がってきました。既存のAI市場を牽引してきたプレイヤーにとっては、戦略の練り直しを迫られる事態となっています。

CNBC
Nvidia drops nearly 17% as China's cheaper AI model DeepSeek sparks global tech sell-off DeepSeek launched a free, open-source large language model in late December, claiming it was developed in just two months at a cost of under $6 million.

4. OpenAI o3モデルが人間レベルの知能テストで高得点

一方でOpenAIも負けておらず、新たに実験モデル「o3」を発表しました。ARC-AGIテストで87.5%という高得点をマークし、人間の知能に迫るレベルまで進化を遂げていることが示唆されています。推論や一般化能力の高さが評価される一方、実行時に莫大な計算リソースが必要になるため、ビジネス活用にはコスト面のハードルが存在すると指摘されています。今後、このモデルの高い性能をどのように実運用につなげていくのか、OpenAIの対応に注目が集まります。

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How should we test AI for human-level intelligence? OpenAI’s o3 electrifies quest Experimental model’s record-breaking performance on science and maths tests wows researchers.

5. 日本企業のAI活用も加速

日本では、インディカスソフトウェアジャパンが1月末に「AIエージェントオーケストレーター」をリリースする予定です。企業が自社専用のAIエージェントを簡単に作成し、業務効率化を進めることができる仕組みを提供するとされています。こうしたツールの拡充によって、国内企業がAI導入をより身近に感じるきっかけとなり得るでしょう。さらに、サムスン電子は2月14日に発売予定のスマートフォン「Galaxy S25」シリーズにAIエージェントを搭載すると発表しており、モバイル端末におけるAI活用が一段と加速することが期待されています。

デジタルクロス
AIエージェントを生成できる開発機能、ノーコード開発の印インディカスソフトウェアの日本法人が提供  インディカスソフトウェアジャパンが2025年1月末にリリースする「AIエージェントオーケストレーター」は、対話型で利用するAI(人工知能)エージェントの開発機能(図1)...

DeepSeekの台頭によって、AI市場はかつてないほど大きな転換期を迎えています。OpenAIをはじめとする既存のリーダー企業との競争が激化する一方で、新興勢力の独創的なアプローチが次々と生まれ、これまでの巨額投資に対する評価も変わり始めています。日本企業も本格的にAI活用へと乗り出し、国内外で新たなサービスや製品が次々と登場する見込みです。引き続き、AI技術が私たちの社会にどのように根付いていくのかを注目しながら、最新情報を追いかけていきましょう。

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