
パーテクチュアル株式会社
代表取締役社長 中村稔
金型関連のものづくりに20年従事し、会社の社長としてリーダーシップを発揮。金型工業会と微細加工工業会にも所属し、業界内での技術革新とネットワーキングに積極的に取り組む。高い専門知識と経験を生かし、業界の発展に貢献しております。
詳細プロフィールは⇒こちら


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代表取締役社長 中村稔
金型関連のものづくりに20年従事し、会社の社長としてリーダーシップを発揮。金型工業会と微細加工工業会にも所属し、業界内での技術革新とネットワーキングに積極的に取り組む。高い専門知識と経験を生かし、業界の発展に貢献しております。
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「うちの工場は通路が狭くてロボットなんて無理」と諦めていませんか?実は、道幅が狭くレイアウト変更が多い中小企業の現場こそ、最新技術「SLAM」が真価を発揮します。本記事では、ニッシン・パーテクチュアルの中村が、実体験に基づき、失敗しない搬送ロボットの導入手順と、現場を止めない活用術を経営者視点で解説します。

SLAMとは「自己位置推定」と「地図作成」を同時に行う技術です。簡単に言えば、ロボットが「今どこにいるか」を知りながら、同時に「周りの地図」を描く仕組みです。これにより、事前のインフラ整備なしで自律走行が可能になります。
SLAMは、人間が初めての場所を歩くときと同じ動きを再現します。センサーが周囲を読み取り、自分の位置を把握するからです。例えば、目をつぶって歩数を数えるだけではズレが生じますが、目を開けて景色を見れば修正できます。SLAMも同様に、カメラやレーザーという「目」で壁や設備との距離を測り、自分の位置を補正し続けます。つまり、GPSが届かない屋内でも、ロボットが迷子にならずに目的地へたどり着けるのです。
最大の違いは、床への磁気テープ敷設が不要である点です。従来のAGVはテープ上しか走れず、コース変更には工事が必要でした。しかし、SLAM型ならタブレット操作だけでルート変更が可能です。
以下の表に、最新のSLAM型と従来の磁気テープ式の違いをまとめました。
SLAM型と磁気テープ式の比較
| 比較項目 | SLAM(スラム) | 磁気テープ式 |
|---|---|---|
| 走行ルート | 自由(データ変更のみ) | 固定(テープ上のみ) |
| 導入工事 | 不要(即日稼働可) | 必要(数日間のライン工事) |
| レイアウト変更 | 容易(低コスト) | 困難(テープ貼り直し) |
| 障害物回避 | 自動で避けて通過 | 停止する(避けない) |
| 導入コスト | 機体価格は高め | 機体は安いが工事費がかかる |
| おすすめの現場 | 多品種少量・通路が狭い | ルート固定・大量生産 |
深刻な人手不足と、センサー価格の低下が重なったからです。以前は数千万円した技術が、今は中小企業でも手が届く価格帯になりました。経済産業省もロボット導入を推奨しており、生産性向上が急務だからです。具体的には、熟練工が運搬作業に時間を取られず、付加価値の高い加工作業に集中できる環境を作れます。現場の負担を減らしつつ利益率を上げるための切り札として、今、多くの町工場がSLAM導入に踏み切っています。
引用:経済産業省 製造産業局 ロボット政策室(ロボット導入事例など)https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/robot/
Nissin Pertechtualからのアドバイス
AIマスター 中村稔「うちは古い工場だから」と遠慮する必要はありません。むしろ、床が凸凹だったり、通路が複雑だったりする現場ほど、工事不要で走れるSLAMの恩恵は大きいです。まずは「運搬というムダ」をなくす決意を固めることがスタートラインです。
狭い工場にこそSLAMが適しているのは、柔軟な回避能力と省スペース性にあります。固定設備が密集する現場では、決まったラインしか走れない従来機は邪魔になりがちです。しかし、SLAM機なら状況に応じた最適な動きが可能になります。
SLAM搭載機は、障害物を検知して自動で避ける能力に長けています。通路に人がいたり、台車が置かれていたりしても停止せずに回避できるからです。例えば、幅1メートルの狭い通路で人とすれ違う際、ロボットが空いているスペースへ一時退避するといった動きも可能です。これにより、作業員はロボットを意識しすぎることなく作業を続けられます。安全を確保しながら、限られたスペースを人間とロボットでシェアできるのが最大の強みです。
床を掘り返したり、ガイドテープを貼ったりする工事が一切不要です。既存の床の状態そのままで導入できるため、初期費用と導入期間を劇的に圧縮できます。具体的には、通常なら数日かかるライン敷設工事がなくなり、納品されたその日からマッピングを開始して稼働可能です。操業を止めることが許されない我々のような中小製造業にとって、工場の稼働を落とさずに自動化をスタートできる点は、経営判断をする上で非常に大きなメリットとなります。
データの書き換えだけで走行ルートを即座に変更できるため、変種変量生産に最適です。金型製造のように、製品ごとに工程や置き場が変わる現場では、固定ルートは足かせになります。しかしSLAMなら、午前はAライン、午後はBラインといった運用が画面操作一つで完結します。頻繁なレイアウト変更にも追加コストなしで対応できるため、多品種少量生産を得意とする日本の町工場のスタイルに、極めて親和性が高いシステムなのです。
Nissin Pertechtualからのアドバイス



狭い通路でのすれ違いは、実際にデモ機を走らせてみないと分かりません。カタログスペックで「幅60cm対応」とあっても、実際は安全マージンが必要な場合があります。必ず自社の最も狭い場所で走行テストを行ってください。
SLAMには大きく分けて「LiDAR(レーザー)」と「Visual(カメラ)」の2種類があります。どちらが優れているかではなく、自社の工場の明るさや広さ、粉塵の有無によって使い分けることが成功の鍵です。
LiDAR SLAMとVisual SLAMの選定基準
| センサー種類 | LiDAR SLAM(レーザー式) | Visual SLAM(カメラ式) |
|---|---|---|
| 得意な環境 | 暗所、粉塵、広い倉庫 | 明るい工場、特徴物が多い場所 |
| 苦手な環境 | ガラス、鏡、黒い物体 | 真っ白な壁、暗闇、逆光 |
| 位置推定精度 | 非常に高い(cm単位) | 高い(環境による) |
| コスト | やや高い | 比較的安価 |
| 中村社長の推奨 | 窓からの西日が強い現場 | 人やポスターが多い雑然とした現場 |
LiDAR方式は、レーザー照射による距離測定を行うため、精度が非常に高く暗闇でも稼働します。照明条件に左右されず、正確な地図を作れるからです。例えば、夜間の無人搬送や、照明を落とした倉庫内でも数センチ単位の精度で走行可能です。ただし、レーザーは透明なガラスや鏡面反射するステンレスなどを検知しにくい弱点があります。広い空間や照明が暗い現場では圧倒的な性能を発揮するため、精密度を重視する場合におすすめです。
Visual方式は、カメラ画像から特徴点を抽出するため、安価で情報量が多いのが特徴です。人間と同じように景色を見て判断するため、AIとの相性も抜群です。例えば、天井の形状やポスターなどを目印にして位置を特定できます。一方で、真っ白な壁だけの通路や、照明が極端に暗い場所では位置を見失うことがあります。コストパフォーマンスに優れており、一般的な明るさがある工場や、特徴物が多い雑然とした現場には最適です。
現場の「光」と「壁」の状況を確認して選定してください。環境によって得意不得意がはっきり分かれるからです。具体的には、窓から強い西日が入り込む場所や粉塵が舞う現場ではLiDARが有利ですし、逆にガラス張りのパーテーションが多いオフィス寄りの場所ではVisualが安定します。失敗しないためには、カタログスペックだけで選ばず、実際の現場環境でデモ機を走らせてみて、どちらのセンサーが安定して位置を特定できるか確認しましょう。
Nissin Pertechtualからのアドバイス



当社の経験では、Visual SLAMは工場の「景色」が変わると影響を受けやすいです。逆にLiDARは「形」を見るので安定しています。どちらか迷ったら、まずはレンタルのLiDAR機から試すと失敗が少ないですよ。
夢の技術に見えるSLAMですが、導入に失敗するケースも少なくありません。主な原因は「環境とのミスマッチ」と「運用ルールの欠如」です。先人の失敗から学び、事前の対策を講じることが重要です。よくあるトラブルと対策をまとめました。
長い廊下や変化のない壁が続く場所では、ロボットが自分の位置を見失うことがあります。SLAMは景色や形状の「特徴」を捉えて位置を特定しているからです。例えば、何もない真っ白な壁が20メートル続くと、ロボットは自分が何メートル進んだか分からなくなります。対策として、ポスターを貼ったり、パイロンを置いたりして、人工的な「目印(ランドマーク)」を作ることが有効です。少しの工夫で認識率は劇的に向上し、迷子を防げます。
荷物の置き場所が頻繁に変わる現場では、作成した地図と現実が一致しなくなるリスクがあります。SLAMは「以前の地図」と比較して位置を割り出すからです。具体的には、地図作成時にあったパレットの山が翌日なくなっていると、ロボットは混乱します。これを防ぐには、動かさない「固定物(柱や壁)」を基準にマッピングを行うか、最新の環境に合わせて地図を定期的に更新する運用が必要です。現場の整理整頓も、ロボットの安定稼働には欠かせません。
「ロボットを入れれば全自動になる」という過度な期待は禁物です。現場社員が「魔法の道具」だと思い込むと、些細なエラーで「使えない」と判断されてしまうからです。例えば、充電切れや一時的な停止は必ず起こります。導入時には「あくまで人の作業を補助する道具である」と伝え、エラー時の復旧方法や運用ルールを全員で共有しましょう。現場の理解と協力こそが、テクノロジーを定着させるための最大の基盤となります。
Nissin Pertechtualからのアドバイス



ロボットが止まると現場から「邪魔だ」とクレームが来ます。これを防ぐには、導入前に「最初の1ヶ月は調整期間です。よく止まりますが、一緒に育ててください」と正直に伝え、現場を巻き込むことが成功の秘訣です。
いきなり高額なロボットを購入するのはリスクが高すぎます。まずは現状分析から始め、段階的に導入を進めることが成功への近道です。私が実践した、確実な5つのステップをご紹介します。
搬送ロボット導入 5つのステップ
「誰が・何を・どこへ」運んでいるか数値を記録する。
デモ機をレンタルし、自社の狭い通路を走れるかテストする。
通路の確保と、センサーの邪魔になるゴミの撤去。
まずは「1工程」だけ導入し、運用ルールを固める。
削減できた時間を計算し、他のラインへ拡大する。
まずは「誰が、何を、どこへ、何回運んでいるか」を数値化してください。現状を把握しないままでは、ロボットの効果を測定できないからです。具体的には、1週間ほど搬送回数を記録し、最も頻度が高く、単純な往復作業をしているルートを特定します。もし搬送頻度が1日数回程度なら、そもそも導入する必要がないかもしれません。この「見える化」のプロセスを経ることで、本当に自動化すべき工程が浮き彫りになり、投資の優先順位が明確になります。
購入前に必ずデモ機やレンタル機で実証実験(PoC)を行ってください。カタログ上の数値と、実際の現場での挙動は全く異なることが多いからです。例えば、想定よりも通路の段差でつまずいたり、Wi-Fiの電波が届かないエリアが見つかったりします。この段階で自社の環境特有の課題を洗い出し、「うちの工場でまともに走れるのか」を見極めることが不可欠です。本稼働後のトラブルを未然に防ぐためにも、このテスト走行は省略しないでください。
引用:経済産業省 ロボット政策ポータル(導入実証事例)https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/robot/
ロボットが走るためには、通路の確保と整理整頓(5S)が絶対条件です。床に工具やゴミが落ちている状態では、センサーが誤検知を繰り返してまともに動かないからです。具体的には、通路の白線の内側には物を置かないルールを徹底し、ロボットの通り道を確保します。実は、ロボット導入のために5Sを進めた結果、人が作業しやすい環境になり、生産性が向上したという副次効果も多くの現場で報告されています。環境整備は自動化の土台です。
最初は1台、1つの工程間搬送から小さく始めてください。一気に全工程へ展開すると、トラブル対応で現場が混乱し、生産が止まるリスクがあるからです。例えば、まずは「材料置き場から1番目の加工機まで」という限定的な区間で運用を開始します。そこで運用ルールやエラー対応のマニュアルを固め、現場がロボットに慣れてから徐々に範囲を広げていきましょう。スモールスタートこそが、挫折せずに自動化を定着させるための鉄則です。
運用が安定したら、削減できた工数と投資額を比較し、費用対効果を検証します。数字による成果が見えれば、次の工程への横展開もスムーズに進むからです。具体的には、「1日2時間の搬送作業がなくなり、その分加工数が増えた」といった成果を金額換算します。この実績をもとに、2台目、3台目の導入計画を立てたり、他のラインへ水平展開したりすることで、工場全体の自動化レベルを段階的に引き上げていくことが可能になります。
Nissin Pertechtualからのアドバイス



ステップ3の「5S」が一番大変ですが、一番重要です。ロボット導入をきっかけに、「床に物を置かない」という当たり前のルールを徹底できれば、それだけで導入費用の元が取れるくらい現場の効率が上がりますよ。
SLAM搬送ロボットは、単に物を運ぶだけの機械ではありません。導入プロセスを通じて工場のムダを見つけ、整理整頓を促し、社員の意識を変える「改革のパートナー」となり得る存在です。
中小製造業にとって、SLAMは最も手軽に始められるDXの第一歩です。難しいプログラミングも大規模な工事も必要なく、現場の改善意識を高められるからです。まずは小さな搬送作業一つからでも構いません。ロボットに仕事を任せ、人間がより創造的な業務に注力できる環境を作ることが、これからの時代を生き抜く鍵となります。この技術を活用し、御社の工場も「次世代のスマートファクトリー」への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
引用:埼玉県 次世代ものづくり産業支援
Nissin Pertechtualからのアドバイス



新しい技術を入れるときは、社長自身が楽しんで使う姿を見せることが大切です。私がG検定を取得したり、自らAIツールを使ったりしているのもそのためです。社長が本気で楽しめば、社員もついてきます。一緒に製造業の未来を面白くしていきましょう!
















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