鋳造の初心者向け解説
冷間鍛造金型メーカーの弊社ではありますが、
今回は「鍛造」と並んで歴史の長い「鋳造」について解説していきたいと思います。
金属を変形させる加工方法には様々な種類がありますが、
その方法のほとんどはこの2つの加工方法から派生しているのではないでしょうか。
鍛造と鋳造は金属を変形させる加工(塑性加工)の2大巨頭と言えると思います。
鍛造の歴史は6000年と言われていますが、
なんと鋳造も6000年と言われています。
またルーツの場所も一緒です。
その場所は肥沃な三角地帯を要したメソポタミア。
現在のイラクにあたります。
なんと多くのみなさんが大好きなビールもこの時代のメソポタミアが起源とも言われているそうです!
メソポタミアの人に感謝ですね!
ここでおさらいです
- 金属に
- 熱を加えて
- 軟化させ
- 叩いて(圧力を加えて)
- 形を変えること
が熱間鍛造でした。
それに対して鋳造は
金属に熱を加えるのは同じですが、
溶解するまで熱します!
イメージはターミネーター2の最終シーン。
恐ろしいほど強かったT1000も溶解炉に転落させることで倒すことが出来ました。
溶解炉最強です(笑)
それはさておき
- この溶解した金属を
- 型に流し込み
- 凝固させ
- 求める形状に成形する
ことが鋳造となります。
鍛造では刀剣などの成形品が花形の印象ですが、
鋳造には超スペシャル成形品があります。
これを出されると鍛造の人はグゥの音も出ません(笑)
それは・・・
東大寺の大仏です!
高さ約15m
重さ約250トン
の一体成形品です。
749年にこれだけ巨大な鋳造品を作れた技術に胸アツです!
735年から737年にかけて天然痘の大流行により日本の全人口の25から35%が亡くなったそうで、
以後そのような事が起きないようにと莫大な巨費をかけ聖武天皇により建立されました。
当時は疫病対策も神頼みだったのですね。
他にも古来から成形されている個人的胸アツ鋳造アイテムがあります。
それは「釣り鐘」です!
調べたところ、今までに世界で多種多様な巨大な釣り鐘が作られているようです
現存する釣り鐘で最大のものは中国の幸運の鐘となっています。
2000年につくられた釣り鐘で重さはなんと約116トンもあります!
奈良の大仏の半分近い重さです。
歴史上で最大と言われている釣り鐘は1484年につくられたGreat Bell of Dhammazedi
ダマゼディの大鐘。
現在のミャンマーで作られました。
その重さはなんと約300トン!
東大寺の大仏を超える重量です!!
残念ながら1602年の輸送中に水没してしまったそうで、
現在もヤンゴン川とバゴー川の合流地点あたりに水没していると言われています。
なんでこんな重いものを輸送しようとしたのでしょうね???
武器や農耕具などの手に持って使用するものだけでなく、
巨大な造形物も成形可能なのが鋳造の大きな特色とも言えると思います。
鍛造と鋳造はお互いに6000年の歴史を持つ加工技術ですが持ち味は大きく違いますね。
調べていくなかで中国の幸運の鐘に匹敵する大きさの鐘が
なんと日本にもあったそうなんです!
今は存在しない、その釣り鐘にまつわる数奇な運命のストーリーも機会があれば楽しく解説してみたいと思います。
今回の話を弊社のYoutubeで分かりやすく楽しく解説していますので良ければご覧ください!