フェムト秒レーザー

アルミニウムのレーザー加工とは?最新技術とその応用

ニッシンパーテクチュアル株式会社は、フェムト秒レーザー、ナノ秒レーザー、ファイバレーザー、CO2レーザーなど、様々なレーザー設備を活用してアルミニウムの精密加工を行っています。これにより、高反射率や高熱伝導性といったアルミニウム特有の課題を克服し、最高品質の製品を提供しています。本記事では、各レーザー技術の特性とその応用例を紹介し、当社の技術力と多様な産業ニーズへの対応について詳しく解説します。

指この記事の監修者
ニッシン・パーテクチュアル株式会社
代表取締役社長 中村稔

金型関連のものづくりに20年従事し、会社の社長としてリーダーシップを発揮。金型工業会と微細加工工業会にも所属し、業界内での技術革新とネットワーキングに積極的に取り組む。高い専門知識と経験を生かし、業界の発展に貢献しております。

詳細プロフィールは⇒こちら

アルミニウムの特性と利点

アルミニウムは次のような特性を持っています:

  • 高強度と軽量性:アルミニウムは、強度に対して非常に軽量で、航空機、自動車、建築材料など、重量が重要な要素となる用途に広く利用されています。
  • 優れた耐食性:自然に形成される酸化皮膜により、アルミニウムは腐食に強く、海洋構造物や化学プラントなど、腐食環境下での使用に適しています。
  • 高い熱伝導性と電気伝導性:アルミニウムは熱と電気を効率よく伝導するため、電子機器や放熱器、電気配線などの用途に適しています。

レーザー加工の基本原理

レーザー加工は、高エネルギーのレーザー光を素材に照射することで、切断、溶接、マーキングなどを行う技術です。以下はその基本原理です:

  • レーザーの種類と選択基準:レーザー加工には、CO2レーザー、ファイバーレーザー、フェムト秒レーザーなどの種類があり、それぞれに特性があります。加工する素材や用途に応じて適切なレーザーを選択します。
  • フェムト秒レーザーとは?:フェムト秒レーザーは非常に短いパルスでレーザー光を照射するため、熱影響が少なく、非常に精密な加工が可能です。フェムト秒レーザーは、特に微細加工や高精度なマーキングに適しています。
  • アルミ加工に最適なレーザー設定:アルミニウムの特性に応じた波長や出力設定が必要です。適切な設定を行うことで、効率的かつ高品質な加工が可能になります。

アルミのレーザー加工が難しい理由

アルミニウムのレーザー加工にはいくつかの課題があります:

  • 高反射率:アルミニウムの表面はレーザー光を反射しやすく、効率的なエネルギー伝達が難しいです。これにより、レーザー光が素材に十分に吸収されず、加工効率が低下します。
  • 高熱伝導性:アルミニウムは熱を迅速に拡散させるため、加工部分に必要な熱量を保持するのが難しいです。このため、適切な熱管理が求められます。
  • 酸化被膜の影響:アルミニウムの表面に自然に形成される酸化被膜は、レーザーのエネルギー吸収を妨げます。このため、酸化被膜の除去や特殊コーティングが必要です。
  • 熱歪みと変形:加工中に発生する熱により、アルミニウムは歪んだり変形したりすることがあります。これを防ぐためには、熱影響を最小限に抑える技術が求められます。

レーザー加工の種類

アルミニウムのレーザー加工には様々な種類があります:

  • 微細加工:高精度な微細加工で、複雑なデザインやパターンを実現します。医療機器や電子部品の製造に利用されます。
  • 深堀マーキング:深い刻印を施すことで、耐久性の高いマーキングが可能です。これにより、機械部品や工具の識別が容易になります。
  • 円筒全周マーキング:円筒形の部品に対する360度のマーキングが可能です。パイプやシャフトなどの部品に均一なマーキングを施すことができます。
  • 広範囲マーキング:大きな表面積に対する均一なマーキングが可能です。これにより、大型部品やパネルに対しても精密なマーキングが可能です。
  • 穴あけ:高精度な穴あけ技術で、様々なサイズと形状の穴を作成できます。エレクトロニクスや航空宇宙産業で重要な技術です。
  • 3Dマーキング:立体形状に対応した三次元マーキング技術で、複雑な部品にも対応可能です。これにより、自由度の高いデザインが可能になります。

アルミニウムのレーザー切断

  • 精密切断のメリット:高精度で複雑な形状の切断が可能です。自動車や航空宇宙の部品製造で重要な技術です。
  • 切断速度と品質の関係:適切な速度で切断することで、品質と効率のバランスを取ることができます。高速度での切断は生産性を向上させますが、品質を犠牲にしないための調整が必要です。
  • 切断後の処理方法:切断後のバリ取りや仕上げ処理が重要です。これにより、製品の品質を向上させることができます。

アルミニウムのレーザーマーキング

  • 高精度なマーキング技術:バーコードやQRコードなど、高精度なマーキングが可能です。これにより、製品のトレーサビリティが向上します。
  • 工業用マーキングの具体例:製品識別やロット番号のマーキングに利用されます。製造ラインでの品質管理が容易になります。
  • カスタマイズ可能なデザイン:ロゴやシリアル番号など、カスタマイズが容易です。製品のブランド価値を高めることができます。

レーザー設備と仕様一覧

媒質 波長 出力 印字範囲 機能 特徴
AgieCharmilles LASER P 400 1030nm 10W 100mm x 100mm 超精密微細加工、3D彫刻 非常に短いパルス幅による高精度加工、熱影響を最小限に抑えるため、繊細な材質にも適用可能、高速加工と高品質仕上げの両立
YVO4 1064nm 6W, 8W, 13W, 25W 90mm x 90mm, 300mm x 300mm, 125mm x 125mm 汎用, 3Dワイドエリア, 3Dアライメントファインダ 汎用性の最も高い波長、幅広い材質、表面処理品へのトリミング加工に対応
YVO4 532nm 6W 120mm x 120mm 3Dファインダ 微細印字からトリミング、穴あけ加工まで、SEMI規格対応、インナーマーキング
YVO4 355nm 2.5W 125mm x 125mm 3Dファインダ ダメージレス(熱ストレスの軽減)、樹脂への高発色印字、SEMI規格対応
Yb 1090nm 30W, 50W 120mm x 120mm 3D深彫り 黒色印字・深彫り印字など
CO2 10640nm 30W, 50W 120mm x 120mm, 300mm x 300mm 3D非金属対応 アクリル・木材などの印字またはカット全般

アルミニウムのレーザー加工における挑戦と解決策

  • 反射性の高い素材への対応:特殊コーティングやパルスレーザーの使用により、反射の影響を軽減します。これにより、効率的なエネルギー吸収が可能になります。
  • 熱影響とその管理:熱入力の制御や冷却技術の導入で、熱影響を最小限に抑えます。これにより、品質の向上が図れます。
  • 加工品質の向上技術:精密な焦点調整と最適な加工条件の設定で、品質を向上させます。これにより、高品質な製品を安定して生産することができます。

アルミニウムのレーザー加工の応用例

  • 自動車産業での利用:車体やエンジン部品の切断・溶接に利用されています。高精度かつ高強度な部品の製造が可能です。
  • 電子機器および家電製品:精密な部品のマーキングや穴あけに利用されています。小型化が進む電子機器で重要な技術です。
  • 航空宇宙産業における活用:高強度かつ軽量な部品の加工に利用されています。安全性と信頼性が求められる航空宇宙産業で重要な役割を果たしています。

結論

アルミニウムのレーザー加工は、その特性を活かした効率的かつ高精度な技術です。しかし、加工の難しさを克服するための技術や対策が必要です。今後の技術進化により、更なる品質向上と新たな応用が期待されます。アルミニウムのレーザー加工技術は、今後も多くの産業でその重要性を増していくでしょう。

 

関連記事

TOP